EC出店者が陥りがちな7つの失敗例と具体的対策【初心者必見】
basics 著者: ECショップ運営ガイド編集部

EC出店者が陥りがちな7つの失敗例と具体的対策【初心者必見】

ECサイト運営でよくある失敗例とその対策を解説。商品撮影の質、在庫管理、顧客対応など、初心者が見落としがちな重要ポイントと、売上アップにつながる具体的な改善方法を紹介します。

EC出店者が陥りがちな7つの失敗例と具体的対策【初心者必見】

ECサイトを立ち上げたものの「思うように売上が伸びない」「運営が予想以上に大変」といった悩みを抱えていませんか?実は多くのEC出店者が、特に初期段階でいくつかの共通した失敗に陥りがちです。

本記事では、EC運営でよく見られる失敗例とその具体的な対策を解説します。すでにECサイトを運営している方も、これから始める方も、ぜひ参考にしてください。

失敗例1:商品写真とコンテンツの質が低い

よくある失敗の状況

ECサイトでは、商品を実際に手に取って確認できないため、写真やコンテンツの質が購買決定に大きく影響します。以下のような状況は要注意です。

  • スマートフォンで簡易的に撮影した画質の低い写真を使用
  • 背景や照明を考慮せず、商品の魅力が伝わらない
  • 複数角度からの写真がなく、商品の全体像が把握できない
  • 商品説明が不十分で、素材やサイズなどの重要情報が欠けている
  • 専門用語が多く、一般的な顧客にとって理解しづらい説明文

具体的な対策

プロ品質の商品写真を用意する

  • 自然光を活用するか、簡易的な撮影ボックスを使用して影を軽減
  • 白や淡色の背景で統一感を出す
  • 商品を複数角度から撮影(前面、側面、背面、詳細部分など)
  • 使用シーンや商品のスケール感がわかる写真も追加
  • 必要に応じてプロのカメラマンや撮影サービスの利用を検討

顧客目線の商品説明を作成する

  • 商品の特徴、素材、サイズ、使用方法など必要な情報を漏れなく記載
  • 専門用語は避け、わかりやすい言葉で説明
  • 箇条書きや見出しを活用して読みやすく整理
  • 顧客が抱える課題と、その商品がどう解決するかを明確に伝える
  • 実際の使用者のレビューや声を取り入れる

改善事例: アパレルを扱うA社では、スマホで撮影していた商品写真をプロのカメラマンによる撮影に切り替え、着用イメージも追加しました。さらに、素材の特徴や着心地についての詳細な説明を加えたところ、コンバージョン率が1.2%から3.5%に向上し、返品率も30%減少しました。

失敗例2:在庫管理の不備による機会損失

よくある失敗の状況

在庫管理の不備は、顧客の信頼を損ない、売上機会を逃す大きな原因となります。

  • 在庫数の定期的な確認を怠り、実際の在庫と管理システム上の数字に乖離が生じる
  • 複数販売チャネル(自社サイト、楽天、Amazon等)の在庫連携ができていない
  • 欠品状態が長期間続き、顧客の購入機会を逃す
  • 逆に過剰在庫を抱え、資金繰りが悪化する
  • 季節商品の入荷タイミングを誤り、需要期に供給できない

具体的な対策

効率的な在庫管理システムの導入

  • クラウド型の在庫管理システムを活用し、リアルタイムの在庫把握
  • 複数販売チャネルの在庫連携を自動化
  • 定期的な実地棚卸で実在庫との整合性を確認
  • バーコードやQRコードを活用した在庫管理の効率化

需要予測と適切な発注

  • 過去の販売データに基づく需要予測
  • 季節変動や市場トレンドを考慮した発注計画
  • 人気商品の安全在庫レベルの設定
  • 仕入先との良好な関係構築と緊急時の対応体制確保

在庫状況の透明な表示

  • 在庫僅少時のアラート表示
  • 欠品時の入荷予定日の明示
  • バックオーダー(取り寄せ)可能な商品の明確な表示
  • 入荷お知らせ機能の提供

改善事例: 生活雑貨を扱うB社では、複数モールの在庫を連携する管理システムを導入し、さらに人気商品の安全在庫水準を見直したところ、欠品による機会損失が70%減少。また在庫回転率が1.5倍に向上し、資金効率も大幅に改善しました。

失敗例3:カスタマーサポートの対応遅延

よくある失敗の状況

顧客からの問い合わせやクレームへの対応が遅れることは、信頼を失い、売上にも直結する問題です。

  • 問い合わせに対する返答が遅い(24時間以上かかる)
  • 返品・交換の対応が不明確でスムーズでない
  • 問い合わせ方法が限られている(電話のみ、メールのみなど)
  • 顧客からの質問に対して的確な回答ができていない
  • クレーム対応のノウハウや基準が確立されていない

具体的な対策

迅速かつ親切な対応体制の構築

  • 問い合わせへの目標対応時間の設定(例:メールは12時間以内、チャットは即時対応)
  • よくある質問(FAQ)ページの充実化
  • 問い合わせテンプレートの準備で対応を標準化
  • 複数の問い合わせチャネル(メール、電話、チャット、SNSなど)の提供
  • 対応履歴を管理できるCRMツールの活用

顧客の信頼を築く返品・交換ポリシー

  • わかりやすい返品・交換ポリシーの明示
  • 顧客に負担の少ない返品プロセスの設計
  • 初期不良や商品相違による返品の送料無料対応
  • 返品理由の分析と商品改善へのフィードバック

顧客対応スキルの向上

  • 対応マニュアルの整備と定期的な更新
  • 実際のケーススタディを用いた対応トレーニング
  • 難しい対応事例の共有と学習
  • 顧客の声を商品開発や運営改善に活かす仕組み

改善事例: アウトドア用品を扱うC社では、FAQページの拡充とチャットボットの導入により、メールでの問い合わせが40%減少。また、対応マニュアルの整備で回答時間を平均6時間から2時間に短縮したところ、顧客満足度調査のスコアが25%向上しました。

失敗例4:配送・梱包の不備によるクレーム

よくある失敗の状況

商品そのものに問題がなくても、配送や梱包の不備が顧客体験を大きく損なうことがあります。

  • 梱包が不十分で商品が破損して届く
  • 配送状況を顧客が確認できない
  • 届け日時の指定に対応していない
  • 配送業者との連携不足で配送遅延が発生
  • 贈答用など特別な配慮が必要な注文への対応ができていない

具体的な対策

適切な梱包資材と方法の採用

  • 商品特性に合わせた適切な梱包資材の選定
  • 破損リスクの高い商品には緩衝材を十分に使用
  • 梱包手順のマニュアル化と品質チェック体制の構築
  • 季節要因(夏場の高温など)を考慮した梱包方法の工夫

顧客向け配送情報の充実

  • 注文確認・発送通知メールの自動送信
  • 配送状況を顧客が追跡できるシステムの導入
  • 配送日時指定オプションの提供
  • 不在時の再配達や受け取り場所の選択肢の提供

配送業者との関係強化

  • 複数の配送業者と契約し、リスク分散
  • 繁忙期前の配送業者との事前協議
  • 定期的な配送品質のモニタリングと改善要請
  • 大量出荷時のピッキング・梱包効率化

改善事例: 陶器を扱うD社では、商品破損のクレームが多かったため、専用の緩衝材と二重梱包の導入、さらに梱包手順の標準化を実施。その結果、破損率が5%から0.5%に低下し、クレーム対応コストも大幅に削減できました。

失敗例5:価格戦略と収益構造の甘さ

よくある失敗の状況

適切な価格設定と収益構造の計画は、ECサイトの持続可能性に直結します。

  • 競合の価格だけを見て安易に価格設定をしてしまう
  • 送料無料の閾値設定が低すぎて利益を圧迫
  • 決済手数料やモール手数料などのコスト計算が不十分
  • 値引きやクーポンの乱発で利益率が低下
  • 季節変動や競合状況に応じた価格調整ができていない

具体的な対策

収益性を重視した価格設定

  • すべてのコスト(仕入、送料、決済手数料、運営コストなど)を考慮した価格設計
  • 商品別の目標利益率の設定と定期的なモニタリング
  • 価値に基づく価格設定(単なる価格競争ではなく、商品の価値や独自性を価格に反映)
  • 適切な送料設定と送料無料閾値の最適化

効果的なプロモーション戦略

  • 無計画な値引きやクーポン発行を避け、目的を明確にしたプロモーション設計
  • 在庫状況や季節に応じた計画的な値引き施策
  • 利益率の高い商品とのセット販売の推進
  • 期間限定・数量限定の特典で価値を明確に

データに基づく価格最適化

  • 競合の価格動向のモニタリングと分析
  • 価格弾力性の検証(価格変更による販売数量の変化を分析)
  • A/Bテストによる最適価格帯の探索
  • 顧客セグメント別の価格戦略(新規顧客向け特典とリピーター向け特典の使い分けなど)

改善事例: 健康食品を販売するE社では、原価と各種手数料を細かく分析し、商品ごとの最低利益率を設定。また、送料無料の閾値を7,000円から9,800円に引き上げるとともに、9,800円以上の購入でおまけ商品をつける戦略に変更。その結果、平均購入単価が12%向上し、総利益率も5%改善しました。

失敗例6:SEOやマーケティング施策の不足

よくある失敗の状況

優れた商品があっても、適切なマーケティング施策がなければ顧客に届きません。

  • 商品ページのSEO対策が不十分で検索上位に表示されない
  • キーワード調査をせずに商品名や説明を作成している
  • SNSやメールマガジンなどの集客チャネルを活用していない
  • リピート購入を促す施策が欠けている
  • データ分析に基づくマーケティング改善ができていない

具体的な対策

基本的なSEO対策の実施

  • 商品名やページタイトルへの重要キーワードの適切な配置
  • 検索需要のあるキーワードを含んだ商品説明の作成
  • 画像のalt属性の最適化
  • モバイルフレンドリーなサイト設計
  • ページ表示速度の最適化

複数チャネルでの集客施策

  • 顧客層に合わせたSNS活用(Instagram、Twitter、Pinterest、TikTokなど)
  • 定期的なメールマガジン配信によるリピート促進
  • 商品レビューの収集と活用
  • インフルエンサーマーケティングの検討
  • リスティング広告や検索連動型広告の効果的な活用

データ分析と継続的な改善

  • アクセス解析ツールによる顧客行動の分析
  • 購入までの導線の改善とコンバージョン率の向上
  • 商品カテゴリやページごとの売上分析
  • 顧客セグメント別のマーケティング施策
  • A/Bテストによる継続的な改善

改善事例: コスメ製品を扱うF社では、商品ページの全面的なSEO改善(キーワード最適化、画像alt属性の追加、ページ構造の改善)と、Instagramでの定期的な投稿を開始。3ヶ月で自然検索からの流入が2.5倍に増加し、SNS経由の売上も前年比180%に成長しました。

失敗例7:運営リソース不足による全体的な停滞

よくある失敗の状況

EC運営は多岐にわたる業務の集合体であり、リソース不足は様々な問題を引き起こします。

  • 少人数での運営で各業務が手薄になっている
  • 繁忙期に受注処理や問い合わせ対応が追いつかない
  • 新商品の企画や開発に時間を割けない
  • サイト改善やマーケティング施策の実行が後回しになる
  • 成長に合わせたシステムやプロセスの見直しができていない

具体的な対策

業務の優先順位付けと効率化

  • 重要度と緊急度に基づく業務の優先順位付け
  • 業務フローの見直しと無駄の排除
  • マニュアル化できる業務の標準化
  • 在庫管理や受注処理の自動化ツールの導入
  • チャットボットなどによる簡易的な顧客対応の自動化

適切なツール・システムの活用

  • EC運営に特化した統合管理ツールの導入
  • 複数販売チャネルの一元管理システムの活用
  • 自動メール配信ツールによる顧客コミュニケーションの効率化
  • 在庫管理・発注の自動化システムの導入
  • データ分析の自動化と定期レポートの設定

外部リソースの効果的な活用

  • 繁忙期に対応できる柔軟な人員体制の構築
  • 専門性の高い業務(写真撮影、SEO対策など)の外部委託
  • フルフィルメントサービスの活用による物流業務の外部化
  • EC運営の一部または全体を代行するサービスの検討
  • 季節変動に対応できるスケーラブルな運営体制の構築

改善事例: 家具を扱うG社では、運営リソース不足から顧客対応の遅延や商品更新の停滞が発生していました。EC運営代行サービス「ラクポチ」に商品登録や顧客対応を委託することで、自社スタッフは商品開発と品質管理に集中できるようになりました。その結果、新商品のリリースペースが2倍に増加し、顧客満足度も向上。売上は前年比140%に成長しました。詳しくは「ECサイト運営の負担を大幅削減!「ラクポチ」のメリット徹底解説」をご覧ください。

まとめ:失敗を教訓に成長するEC運営

ECサイト運営において失敗は避けられないものですが、それを早期に認識し適切に対処することで、むしろビジネスを強化するチャンスとなります。本記事で紹介した7つの失敗例と対策をまとめると:

  1. 商品写真とコンテンツの質: プロ品質の写真と顧客目線の商品説明で魅力を最大限に伝える
  2. 在庫管理の不備: 効率的な在庫管理システムと需要予測で機会損失を最小化する
  3. カスタマーサポートの遅延: 迅速かつ親切な対応体制を構築し顧客の信頼を獲得する
  4. 配送・梱包の不備: 商品特性に合った梱包と配送情報の充実で顧客体験を向上させる
  5. 価格戦略の甘さ: 収益性を重視した価格設定とデータに基づく最適化で持続可能な経営を実現
  6. SEO・マーケティング不足: 基本的なSEO対策と複数チャネルでの集客で顧客到達を増やす
  7. 運営リソース不足: 業務の優先順位付けと効率化、外部リソースの活用で成長の障壁を取り除く

これらの対策を適切に実施することで、ECサイトの成長を阻む多くの障壁を乗り越えることができます。一度に全てを完璧にする必要はありません。最も影響の大きい課題から順に改善していくことで、着実にECビジネスを成長させていきましょう。

EC運営に関するさらなる情報は、「ECサイト開設・運営の超入門ガイド」や「ECサイト運営に役立つマーケティング基礎知識」の記事もご参照ください。


※本記事の内容は2024年1月時点の情報です。EC市場やプラットフォームの動向により、最適な対策は変化する可能性があります。

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